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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2022.11.16

友だちから見た田中会計

私にとって慎さんは「並走して体現してくれるチャレンジャー」|vol.09

少しの陰を保ちつつ、パティオには所々に光が差し込んでいる。大正14年に建てられた「船場ビルディング」は、国の登録有形文化財としても有名である。レトロで品のある空気をまとったこのビルで、洋服のオーダーメイドサロン「船場ビスポーク」を経営しているのは、これまた凛とした雰囲気の店主・瀬島 京子さん。慎さんがサポートしている顧客の一人だ。

『身につけるのは、自信です。』

静かながら芯のあるメッセージを伝える船場ビスポークでは、対話を重ねてお客さんの内面を理解することで、よりその人らしいスタイルを導き出している。

会計ソフトの導入支援をきっかけに、自然と集客やブランディングにも話題が広がっていったという二人。瀬島さんにとって慎さんは、経営について幅広く相談できるパートナーのようだ。

瀬島さんは慎さんのどのような面に信頼を置いているのか、二人のトークから見ていきましょう。

慎さん自身がチャレンジャーなのが、すごく良いと思う

── くんくん・・・。この部屋、なんかいい匂いがします!

瀬島:あ、ほんと?それは嬉しい〜。これは英国の香りなんです。

田中:確かに、香りとか雰囲気とか、なんだか落ち着くよね、ここ。

── わかる!私も数回来ていますが、居心地が良すぎて長居してしまいます。慎さんと瀬島さんは、顧問になる以前からのお知り合いですか?

瀬島:はい。会計についてのオンライン勉強会に参加したのが最初だったかな。そのときに「フリーランスの経理を見てくれる税理士といえば、慎さん」というイメージを持ったんだと思う。

田中:コロナ禍で色々な状況が変わって、オンラインのイベントを頻繁にやっていた頃やね。

瀬島:そういった動きって、一般的な経理関係の方とはだいぶ毛色が違うんじゃないかな?

田中:うーん、そうかも。最初はフリーランスの友だちのために始めたけど、せっかくやしたくさんの人の役に立ったらいいなと思ってコンテンツを作ったんですよ。今後オンラインで伝える場面が増えていくだろうと思って、練習をかねて無料で開催してました。

瀬島:慎さんって、“起業家精神を体現している税理士”だと思います。慎さん自身が経営者として様々なチャレンジをしていて、「やってみたら?」というアドバイスも自分がすでに実行していることだったりする。実体験を交えて語ってくれるから、すごく参考になるし、いつもエネルギーをもらっています。この感じが慎さんの良いところなんだろうね。

田中:なるほどなぁ。めっちゃいいこと言ってくれたわぁ。嬉しいね。・・・もう今日はこれで取材終わりでええか。

── いや、早い早い。

媚びないし本質をハッキリ伝えるから、信頼できる

── では、オンライン勉強会が顧問を依頼するきっかけに?

瀬島:しばらく経って、今度は確定申告のセミナーに参加させてもらったんです。約2年前かな。サロンを開店して、経営について考えないといけないことが一気に増えて。セミナーで改めて慎さんの人柄がいいなと思って、お願いしました。

── 瀬島さんの目には慎さんがどのように映ったんですか?

瀬島:媚びない雰囲気がありましたね。淡々と話すし。印象的だったのが「細々とした節税を考えるより、まずは稼ぐことを頑張りましょう」って言ってたこと。「まさにそうやな!!」って腑に落ちすぎたんですよ(笑)。そんなことをハッキリと言うところがすごく気持ち良いなぁって思った。

田中:「無表情で話すから、何を考えてるのかわかんない」って、周りからよく言われます。

瀬島:セミナーって、慎さんにとっては営業活動の場でもあるはずなんですけど、どこまでも淡々としていて。大事なポイントを伝えて、あとは「できるなら自分でやればいいし、手伝いが必要であれば言ってもらえたら」というスタンスでしたよね。でもって「節税を考えるより稼げ」みたいなこと言うし。

田中:税理士として最悪やな(笑)

瀬島:ハッキリしているんだよね。「これは経費になりますか?」という質問には、丁寧に一つひとつ答えながらも、「尺度を自分で持ちなさい」って一貫して言うんですよ。そういうクリアな感じが気持ち良かったし、私の感覚にはすごく合っていたかな。

経理だけでなく経営の相談ができる税理士

── 会計ソフト「freee」の導入から支援が始まったそうですが、今は経営の相談の方が多いとか。具体的にはどんなことを話すんですか?

田中:瀬島さんはちゃんとしてるから、会計面での心配はほとんどないしね。

瀬島:お金まわりでは「最初は融資を受けるという手もあるよ」って言ってくれたよね。だけど、私はレバレッジをかけて売上を伸ばすことは考えてなくて。自分の身の丈に合うかたちでじっくり売上を伸ばしていく方が性に合っているので、「融資はいいや〜」と話しました。3〜5年で事業を軌道に乗せるためにどうすればよいか、相談しながら進めています。

田中:集客の話はよくするね。「節税より売上を伸ばしなさい」って言われても「どうやったら売上が上がるんですか?」ってなると思うので、僕からもアドバイスや提案をさせてもらいます。瀬島さんはオンラインよりもリアルで会って話す方が伝わるものがあるので、もっと外に出た方が良いよって言ったかな。

瀬島:そうね。SNSマーケティングなんかも話に出るけど、自分としては違和感があって。「やっぱり私は人と会って話す方が情熱を持てるし、不特定多数に向けて発信するよりも、数は少なくてもきちんと想いを伝えたい」って話したら、「今度、SIGHTS KYOTO に一緒に行かへん?おもしろい出会いがあると思う」って、代表の西澤さんと引き合わせてくださったんですよ。

なんていうか、慎さんが選択肢をたくさん提示してくれて、そこに私が「これはちょっとな〜」とか「やっぱりこっちかな〜」と反応しながら、話をどんどん具体化していく感じ。正解を押し付けるんじゃなくて、対話しながら私に合いそうなことを提案してくれるんだと思うなぁ。

田中:やっぱり自分で納得して決めないとね。瀬島さんの返事には軸がしっかり通っているから、こっちも考えやすい。

瀬島:「最後は自分が決める」っていうスタンスは、どんな場面でも一貫してるよね。

田中そうじゃないと、うまくいかない時に人のせいにできちゃうしね。「税理士に言われたから……」って言う人がいるけど、やると決めたのは自分やん。この前も「税理士が相談に乗ってくれない」という問い合わせがあったんやけどね。「アドバイスしてほしいってちゃんと伝えてますか?」って聞いたら「そんなことしてない」って言うもんだから、「そもそも自分から働きかけないとあかんで。それは税理士のせいではないよ」って説教したところ。

── 問い合わせに対して、営業せず説教して終わった!斬新!(笑)だけど、そこで突き放してあげるのが慎さんのやさしさですね。

瀬島:慎さんは常に本質を考えているよね。その姿勢が皆に信頼されるんだと思う。

田中:昔からそんな感じやけど、自分が本当に役に立てる人のために頑張ろうって最近特に思うようになった。税理士の仕事って、基本的にクライアントとは長いお付き合いになるから、一生のうちで手伝える人の数には限りがあるわけで。自分の年齢を考えると、あとこれくらいかなっていうのが見えてくるからね。だから、瀬島さんみたいな人の役に立ちたいなと思う。ええこと言うたんちゃう?今。

── ・・・そーですねー。

田中:いや、書く気ないやろ!

価値観を表現するためのオーダーメイドを広めてほしい

── さて、瀬島さん。船場ビスポークの今後の課題は何でしょう?

瀬島:何より、結果を出さなきゃだよね。お店を始めた時、売るための妥協やごまかしは一切やめようと決めました。それで売上が下がる時もあるだろうと、覚悟の上でね。今は耐える時期だけど、必ず軌道に乗せられると信じてやり抜きたいです。少なくとも3年ぐらいはカツカツでも仕方がないと考えているから、慎さんにも長い目で見てねって言ってます。ヤキモキしてるかもしれないけど(笑)

田中:大丈夫!言いたいことは常に言ってるから。

── 慎さんから見て、船場ビスポークの価値はどこにありますか?

田中:瀬島さんに頼めること自体に価値があるかな。ただ物理的にサイズが合うっていうことじゃなくて、お客さんの価値観を表現するためのサポートをしているから。そこを、もっと自信を持って届けてほしい。スーツに限らずカジュアルな服をオーダーすることの価値や素晴らしさも、僕は瀬島さんに教えてもらったし。オーダーメイドの価値ってまだまだ世の中に伝わっていないから、瀬島さんにはもっと発信していってほしいなと思う。

瀬島:前回の打合せでもそう言ってくれたよね。

田中:発信を増やそうという提案は、船場ビスポークの売上のためだけに言ってるんではなくて。自分の表現方法を模索している人に情報が届いて、思いを実現するきっかけになってほしい、っていう意図もある。

瀬島:多くの方は“オーダーメイド=スーツ”っていう印象を持っているから、それだけではないことは伝えていきたいです。慎さんも、アンバサダーとしてカジュアルなシャツを作ってくれたんですよ!

田中:この服、好評。(ニヤニヤ)

瀬島:これまで2回とも、打合せに来たついでにオーダーしてくれましたよね。仕事の話をしているうちに、気がつけば「ほな、作っていこかな」みたいな(笑)。次のアポがあるから時間がないとか言って、生地やらボタンやらさくさく決めていって。

田中:プロに選んでもらう方が絶対にいいと思うから、希望は言うけど、あとは瀬島さんのおすすめを信じてお任せしてます。

── いいですね!瀬島さんは女性のオーダーも扱っていますよね。レディース事業はどんな展開を考えていますか?

瀬島:そこは少し悩んでいるというのが本音です。女性の場合、女性特有のフィッティング事情があり、カスタマイズのパターンがとにかく多くて難しいんですね。増やしていきたい気持ちはあるけれど、数字で考えると厳しい面があって。これも課題だね。

田中:確かに経営上は難しいのだけど、例えば、女性向けのオーダーは数を絞るというのも一つの手かな。オーダーメイドの服は長く大切に着られるから環境にも良いし、社会にとってすごく良いことだと思う。同じ値段で既製品のシャツを買うなら、オーダーしたほうが人生が豊かになるだろうし。

瀬島:自分では意識して発信しているつもりだけど、伝わってないのかぁ。やっぱり戦略的に考えるのが苦手なんだよね。会って伝えるのはめっちゃ得意なんだけど!

田中:苦手なところはサポートするよ。リスクの少ないやり方で試しながら広げていく方法とか、アイディアは色々と提供できるので

── 他に今後やりたいことなどはありますか?

瀬島:コラボレーションというかたちで、色々な方との掛け合わせをしていきたいですね。気の合う人とイベントを開催するとか。すぐに売上につながるわけではないけれど、今後につながる関係性を広げたいと思っています。

── フリーランスや小規模経営者ならではのビジネスの楽しみ方ですね!

田中:友だちと一緒に仕事している感覚だよね。

瀬島:大人になってから友だちになった人って、仕事を介して関わるとすごく深い付き合いになるじゃないですか。信頼関係も強くなるし。おもしろいですよね。プライベートも楽しみつつ、仕事でも楽しめるというか。

── 最高ですね。「あそぶように仕事する」をテーマに掲げる私としても、とても共感できます。あそび続けたいっす。

田中:僕も一緒、一緒(笑)

この後、気がつけば慎さんは船場ビスポークでのオーダー4着目となるジャケットの生地を選び始めているのでした。この冬は、ブルー×茶色を着こなすイタリアーノ慎さんに注目です!柏原でのメガネ購入に続き、今回も取材のはずがいつの間にかウキウキ買い物見学が始まってしまいました。

実は採寸や試着の写真も山ほどあるのですが、本編はこれにて失礼いたします。瀬島さん、ご協力ありがとうございました!

協力:船場ビスポーク
文・写真:宮内 めぐみ  編集:柴田 明

2022.11.16