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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2022.02.01

友だちから見た田中会計

税理士が顧問先のイベントをプロデュースするって、珍しいですよね。|vol.02前編

左から、田中、熊倉、山本さん、柴田さんです

「おれが会いに行こうかな。その方がおもろいな」

株式会社おいかぜのデザイナー山本 容子さんを訪ね、京都へ向かう田中慎さん。山本さんは、2017年に田中経営会計事務所(以下、田中会計)のwebサイトをデザインしてくれました。2019年には、田中会計の顧問先である株式会社アイ・Kさんの不揃い真珠を使って、ワークショップを一緒に開催。山本さんいわく、慎さんの印象は「時々ふらっとやってきてお菓子をくれる人」。コロナ禍でしばらく顔を合わせていなかったという2人が、それぞれの課題解決や今後の展望を語ります。

課題が見えたら、税以外のことでも放っておくことはできひん。

田中:久しぶりやな。真珠のワークショップ以来かも。

山本:2年ぶりですね。アイ・Kさん、お元気ですか?


田中:アイ・Kさん、あのあと伊勢シーパラダイスっていう水族館のショッピング施設に入ることが決まって。あのワークショップがあったおかげやねん。ただ真珠を売るだけじゃなく、真珠を使ってオリジナルの企画ができる会社やと思ってもらえた結果やから、本当に感謝してます。アイ・Kの皆さんも、新しい挑戦をしたことで視野が広がったし、自信にもつながったと言ってくれてて

山本:普段はスーツで働いているアイ・Kの営業の方が、真珠博士になりきって、紙芝居やクイズをしてくれましたよね。私たちにとっても初めての天然素材を使ったワークショップだったので、すごく勉強になりました。真珠ができるまでにストーリーがあるから、子どもたちにどう伝えるか、考えるのが楽しかった。よく考えたら、税理士さんがお客さんのイベントをプロデュースするって珍しいですよね?

田中:アイ・Kさんと話していて、これからは卸売の会社にも自分たちで集客する力が必要やと感じたんです。百貨店や商業施設は、お客さんを呼べる企画を常に求めてるから。それで、やまもっちゃんがやってる「こどものためのでざいんぷろじぇくと ワワワ」のことを思い出して。税理士やから税務のサポートだけするっていう関わり方じゃなくて、事業がいい感じに発展するきっかけを提供できるといいなと思ってます。

※ワークショップ「しんじゅにふれよう!」の様子は、山本さんが手がける「こどものためのでざいんぷろじぇくと ワワワ」の記事で詳しく紹介されています。

山本:田中会計のwebサイトのデザインをさせてもらった時に、リニューアル前のwebサイトは慎さんが自分で作ったと聞いてすごく驚いたのを覚えてます。税理士事務所のデザインって聞いてたけど、この人のやってることは税理士の枠を超えてるよなって思ってました。

田中:素人ながら、頑張って調べて作ったなぁ。お客さんのwebサイトを作ってあげたこともあるし、そういえばチラシも作ったことある。もうだいぶ前やけど、まちのお豆腐屋さんが顧問先やった時に、前の道の人通りが少ないからなんとかして集客せなあかんと思って。僕らの仕事って、そもそもお客さんの売上がちゃんと上がってなかったら、税務だけうまくいっても意味がないやんか。「豆腐のレシピカードとか作りましょうよ」って提案したら、「そんなんよう作らへん」って言われて、「じゃあ僕が作ります」って。お客さんの課題が見えたら、税以外のことでも放っておくことはできひんよね。

ハードルの高さは、税理士の仕事をする上での大きな課題

山本:なるほど、お客さんの課題に一緒に向き合った結果なんですね。デザインの仕事も、やるべきことは課題解決だと思っています。

田中:うちのデザインはどんなことを考えて作ってくれたん?今でも評判がいいし、お願いしてよかったなってよく思うねん。突然webサイトから問い合わせをしてきて、社員になったメンバーもいるし。

山本:税理士事務所のデザインは、一般的には誠実さを感じさせるようなかっちりしたものが多いんですけど、田中会計の場合は慎さんの色を出した方がいいと思いました。柔軟で、やわらかい雰囲気にしようと。税のことを全然知らない人が見ても、「この人優しそうやし相談してみよう」って思ってもらえるデザインを目指しました。

田中:ほんまにその通りで、ハードルの高さは税理士の仕事をする上での大きな課題やねん。会ったこともない人に顧問税理士になってほしいって問い合わせをするのは、かなり勇気がいると思うんですよね。うちがやたらとオンライン勉強会をするのは、そのハードルを下げるため。手間はかかるし儲からへんけど、こんな人がこんな感じでやってるっていうのを見てもらえる機会を作ることは、宣伝として意味があると思ってます。わかりやすく説明する練習にもなるしね。フリーランス向けの勉強会は特に、「全然わからへん」って皆さん正直に言ってくれるから(笑)。


山本:それを言えるのは、相手が慎さんだからですよね。税理士さんってけっこう厳しいイメージがあります。質問とかしにくそうな……。

田中:もともと教師になりたかったから、人に何かを教えるのは好きやねんな。伴走して良くなっていく姿を見ると嬉しいし。確定申告を毎年遅れて出してた人が、1ヶ月ごとにちゃんと売上や経費を計上して経営状況を見通せるようになったりとか。やっぱり起業したばっかりの人をどんどん手伝っていきたいなと、最近また思ってます。

山本:起業した人の支援って、一番たいへんそうですよね。お金もないし、仕組みも整っていないし。そこにやりがいを感じるのが慎さんらしいです。

田中:おもしろいから。全然儲からんねんけどな。変わっていく過程が好きなんです。長年1人でやってきた個人事業主の人と「この売上やったらバイトを雇えるなぁ」って話をしたりとか、次の展開を一緒に考えながら手伝えるのは、単純に楽しいよね。あとは、新しいやり方を取り入れやすいから改善がしやすい。すでに仕組みができている組織やと、変えるのにめっちゃ苦労することが多くて。

色んな人に会いに行って話を聞いてたら、知らん間に広がっていく

山本:私、慎さんは1人で自由に働いているイメージだったので、社員さんが増えたと聞いてびっくりしたんです。でも、前回の記事を読んで納得がいきました。

田中:そうそう。1人で好き勝手やってたのが、「3人で好き勝手やってる」に変わっただけやで。やまもっちゃんは、これからどんな仕事がしたいん?

山本:具体的にデザインを進める前の、概念的なところ、プロジェクト自体の価値を広げるところをもっとやっていきたいなって思ってます。その制作物の目的や存在意義を考えて、コンセプトを練るところから関われる仕事を増やしていけたらいいなぁ。だから、慎さんのやっていることにもすごく興味があります。「SOU-MU NIGHT」も楽しそうだし、税理士としてもSILK(京都市ソーシャルイノベーション研究所)のコーディネーターとしても、色んなプロジェクトを生み出してますよね。

田中:色んな人に会いに行って雑談してるだけなんやけどな。話を聞いてたら、知らん間に広がって「やろう!」ってなってる。やまもっちゃんも、色んな人にふらっと会いに行ったらいいんちゃうかな、お菓子持って。今、田中会計の友だち制度を作ろうと思ってるんやけど、友だちになってくれた皆に色々教えてもらおうと思ってて。やまもっちゃんにもデザインとかレイアウトとか、色んな見せ方を教えてほしい。

山本:いいですね!現状維持だとどうしても飽きちゃうので、外の人に新しいことを教えてもらえる機会って大事だなと思います。

田中:おもしろそうやろ。産業カウンセラーもしてる臨床心理士の人に傾聴の仕方を習うとか。SILKの仲間には、タスク管理について教えてほしくて。その勉強会に他の友だちも参加できたらおもしろいやん。貧乏性やから、常に“一石四鳥”くらいを狙ってるねん。

山本:一石二鳥じゃなくて、四なんですね(笑)。

田中:そう、二では満足できひん。やまもっちゃんは、デザインする時はいつもどんなことを考えてるん?

山本:よく読解すること……は、意識してます。まずは、お客さんがやりたいこと、制作に関わる社内のメンバーがやりたいことを、ちゃんと理解する。次に、それを色んな方向から見るんです。私個人としてどう思うか、お客さんの目線からはどうか、お客さんの顧客は?子どもが見たら?って。色んな立場から考えてみることは、得意な気がします。普段から人を観察するのも好きで。

田中:それを自然にできるのはすごいな。本を読むのが好きって言ってたから、そのおかげかもしれへんね。やまもっちゃんは、デザインの仕事をめっちゃ楽しんでるよね。初めて会った時から、一見ふわっとしてるけど芯が強い頑固な人っていう印象があって。ワークショップの時も、僕とアイ・Kさんがゴールが見えないままあれこれ喋ったことを見事にかたちにしてくれて、感動しました。僕は絵も下手やし、クリエイティブな人に憧れがあるんです。本当にすごいと思う。また一緒に何かできたらいいな。考えときます!

山本:ぜひよろしくお願いします!

[ 後編 〜株式会社おいかぜ 代表取締役 柴田 一哉さん〜 へ続く ]

協力:株式会社おいかぜ
文・写真:柴田 明

2022.02.01