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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2022.07.27

友だちから見た田中会計

慎さんは優しさがエグいんですよ、ホント。|vol.06


「オープニングに誘ってもらったら、絶対行くよね」

SIGHTS KYOTOは、京都五花街のひとつ宮川町にこの春オープンしたコワーキングスペースです。顧問先のTERA Energy株式会社さんの紹介で、“昼から飲める人”としてオープニングパーティに招待された田中慎さん。ノリよく参加し、SIGHTS KYOTO 代表の西澤 徹生さんに出会います。

「地元の人と利用者との交流が生まれる設計で、うっちーさんも好きやと思う」と言われ、京都へ取材に伺うことに。西澤さんとの他愛ないおしゃべりから垣間見える「田中慎」をお伝えしてみましょう。

会員第1号となった慎さんの、ええやつっぷり

── いつからSIGHTS KYOTO(以下、SIGHTS)の会員になったんですか?

田中:オープニングパーティで初めて伺った時に「めっちゃええやん!」ってなって、その日に会員になりました。

西澤:その場で「webから登録しました〜」って言ってくださいましたね。

田中前回の柏原市でのメガネもけっこう驚かれたし、何でもかんでも即決キャラみたいになってるけど、決してそうではないですよ。むしろ、シビアな見方をしてると思います。決めるときは早いけど、納得いかないときは絶対買わない。

── 決め手は何だったんですか?

田中:スタッフが皆さんええ人ばっかりやったしかな。どうせ入るなら、迷って1ヶ月後にまた来るよりも、オープニング時点で入ったほうが喜んでもらえるやん?入るなら今やなっていう意識もあった。オープニングって好きやねん。誰にも知られていない場所とか、もう、大好き!

西澤:めちゃくちゃ嬉しかったです。一番最初のお客さんだし、一生忘れないですね。スタッフ全員「慎さんのおかげです〜」って言ってるし。本当にその通りやなと。


西澤:しかも、オープニングパーティの翌朝、早速利用しに来てくださったんですよ。その時も感動しました。

田中:日頃から事業者さんの舞台裏を見ているから、オープン後の集客の苦労ってすごく気持ちがわかるんですよね。だから、翌日から利用者がいるのは嬉しいだろうなって。自分が運営側やったら誰か来てほしいなと思った。

西澤:そういう心意気がまた嬉しいです。初めて挑戦するコワーキングスペース事業なので、「これから大丈夫かな……」っていう不安も大きかったんです。その中で一筋の希望になってくれましたよね。

田中:ええやつやろ?

── ええやつっすわ。メモしときます。

田中:いやいや、「ええやつ」って書いただけやん!それメモとして機能してへんやろ。

みなさんの気遣いがちょうどええのよ

── 会員になってから、どんな使い方をしているんですか?

田中:毎週木曜日は打合せをなるべくオンラインにして、SIGHTSで仕事してます。使い勝手は申し分ないし、何より、スタッフさんたちが楽しい!「こんにちは〜」って入ると、「あ、慎さん〜!」とすごくウェルカムな雰囲気で迎えてくれます。バランスが絶妙なんですよね。もっと小規模な場所の家族的な関係だと近すぎるし、大規模なスペースだとお客様扱いになりやすい。ちょうどいい距離感だと思います。上の階に行けば放ったらかしやし。

西澤:上にいらっしゃるときは、お仕事の邪魔になるので絶対に話しかけないです。

田中:上で仕事して、疲れたらビールを飲みに降りて来る、という感じかな。夕方になっても仕事が残ってる時は、休憩しつつもカウンターでパソコン開いてもう少し作業して。


── バーカウンターで仕事しても大丈夫なんですね!

西澤:もちろん。パソコンを触ってはるときは、スタッフも空気を読んでそっとしておきます。慎さんは区切りがついたら「あ〜終わった〜」って言ってくれるんで、わかりやすいです(笑)

田中:人を呼ぶ時はミーティングルームを貸りることもありますよ。ほんで、バーカウンターでも打合せができるところがまたちょうどいい。お店の出入り自由な雰囲気があると「そろそろ帰りますわ〜」と言いやすくて、お互いに気を遣わなくていいから。

西澤:あと、21時で閉めてくれるからありがたい、ともおっしゃってましたね。

田中:ズルズル延びずに切り上げられるのがいいですね。それに、お店を探して予約して……となると、呼ばれた方も参加できるかどうか微妙なときって気を遣うでしょ?ここなら「21時までSIGHTSで飲んでるよ〜」とだけ伝えておけば、ちょっと顔出すだけでもOKな感じになる。お互いに気楽ですよね。

「地元の人と旅行者をつなげたい」西澤さんの熱い想い

── 西澤さんは、以前は旅行会社でお勤めだったとか?

西澤:はい。7年くらい前に退職して、一棟貸しの宿を始めました。今もSIGHTSと平行して運営しています。実は、宿泊業を始めたのは悔しさからだったんですよ。というのも、宿泊施設って旅行者の方から直接「よかったよ!」って言ってもらえたり、感謝されたりする機会が多いんです。でも、旅行会社にいても感謝してもらえることってあまりなかったんですね(苦笑)

── たしかに、旅行会社さんは裏方さんという感じがします。

西澤めっちゃ頑張って観光プランを組み立ててるんですけど、その思いはなかなかお客さんには届かなくて。なんか、悔しかったです。「そこ紹介したん、俺やで!」って言いたいのに言えないというか。旅行が終わってから思い出すのって、手配をした旅行会社じゃなくて、現地で直接やりとりをした宿やお店の方々ですよね。僕は常々、記憶に残る仕事をしたいと考えていたので、宿泊業の側に立ってみたくなりました。

田中:直接「ありがとう」って言ってもらえるのは嬉しいですよね。

西澤:そうなんです!人生の節目になるような記念日に宿泊される方も多くて。特別な時間を過ごすためにうちの宿を訪ねてくださったと思うと、すごく嬉しいです。それに、5割くらいの宿泊者さんがお手紙をくださるんですよ。お部屋に置いてあるメモ帳に、手書きで。


田中:へぇ〜これは嬉しい!

西澤:お金をいただいてるのに、さらに気持ちまでいただけて、すごく心あたたまりながらお仕事させてもらって……めっちゃいい仕事やなぁって思います!

── それだけの思いを持って宿泊業をされてきたのに、なぜ宿泊できないコワーキングスペースを始めたんですか?

西澤:一棟貸しをする中で、「地元の人が入れない空間を作ってしまった」という反省もありまして……。今、京都市はオーバーツーリズムの問題を抱えています。空き家がどんどん買い取られ、外資系のオーナーが増えて、まちがホテルやゲストハウスだらけになりました。その結果、京都に住む人たちに「私らにはなんのメリットもない」「賑わうとむしろ迷惑」と思わせる状態になってしまったんです。

── 確かに、インバウンドの影響を受けて、京都市内のあちらこちらで宿泊施設が乱立しましたね。

西澤:自分もその一員になってしまっていると気づいたんです。でも、今後の展開について相談すると、誰に聞いても「数を増やしたらええやん」と言われました。施設数を増やして売上を上げるという考え方には、あまり納得がいかなくて……さんざん悩んだ末に、「地元の人も観光客も来れる場所」を作ろうと思いました。

田中:それでSIGHTSができた?

西澤:いえ、具体的に何をすべきかはわからなかったので、いったんMBA取得のために京都大学の大学院に行きました!MBAも人生の目標ではあったので。こういう場所を作ろうと思ったのは、大学院でワーケーションについて調べる機会があったからです。企業、利用者、受け入れる土地など、様々な角度から考えていくうちに、「その地域らしさの中で働く」ことが大事だなと感じるようになって。このまちには、京町家や鴨川など京都らしい景色や建物があります。ここで、事業者として、京都らしさの中で働ける場所を作ってみようと決意しました。

田中:京都市内に「町家でオフィス」と謳う建物はいくつもあるし、コワーキングスペースもたくさんできたけど、場所だけがある感じもして。西澤さんは、“人との出会い”を設計してるんですよね。僕がコワーキングスペースを使うのは、そこにいる人と出会えるからだと思うんです。出会いって簡単に作り出せるものではないから、SIGHTSは場の作り方が絶妙ですね。働いてる側としても、地元の方とお話しできる機会ってすごく貴重だし、ありがたい。

西澤:慎さんは、僕らが言語化しきれていない部分まで理解してくれてるな〜って感じます。

地元の方の婚活PRも、利用者さん・バーのお客さん・SIGHTSメンバー総出で手伝っています!

西澤さんによる「慎さんの対応力がエグい」説

西澤:慎さんにはいつも助けてもらってますね。たとえば、僕やスタッフが注文に追われているとき、新規のお客さんが来ると「あぁっ、どうしよ」って焦るんです。すると、入り口あたりでキョロキョロしてるお客さんを、慎さんがグッと押さえに行ってくれます。それがもうすごいんですよ!

田中:押さえに行くって(笑)。たしかに、話しかけに行くけど。「東京から来はったんやって〜」とかすぐみんなに言うしね。

西澤:1回や2回じゃないですから。あの押さえはエグいっす。慎さんが行ってくださると、そのお客さんも場に馴染み始めるんですよね。初対面の方への入り方って、どうしてるんですか?真似したいです(笑)。

田中:別に何も……当たり障りない感じやで。よく無表情って言われるし。全力でニコニコしてんのに。

西澤:こないだも制作担当のスタッフがちょっと離れたテーブルでパソコン作業をしていたら、慎さんがトイレに行くついでにスッと話しかけるんですよ。カウンターが盛り上がってる中、ポツンと一人で作業してたから。その子は独学でデザインを頑張ってくれてるんですけど、会話の中で慎さんが「僕の知ってるデザイナーの子を紹介するわ」って。その場ですぐ「今から来れる?」って電話してくれて。で、数十分後にデザイナーの方が来てくださったっていう。

── めっちゃええ話や〜

西澤:スタッフが「慎さん、まぁーじ、サイコーっす!!」って言ってましたわ(笑)

田中:まぁ、わざわざ来てくれたそのデザイナーさんがめっちゃええ子やっていう話やね。でもきっと、寂しそうにしてる人がめっちゃ気になる性分やねんなぁ。


── 慎さんから西澤さんはどう見えているんですか?

田中:34歳という若さで家庭もあるのに、税理士目線で見るとまぁまぁなリスクを取っているんですよ、西澤さんって。それが純粋にすごいかな。だから頑張ってほしい。いつ来てもSIGHTSが満席で良い雰囲気だったら、そのときはもう僕はお役御免かなって思うけど、それまでは応援したいかな。この空間に関わる人みんなにとって良い場になったら良いなと思ってます。

── うわ〜、かっけー!

西澤:えぇ!?やめないでくださいね!?

田中:いや、来るけどさ(笑)。西澤さんの「地元住民と観光客、京都の事業者をつなぐ」という思いにもすごく共感するし。「SIGHTSのために……!」という応援の仕方は重いと思うけど、京都で飲むならSIGHTSにするとか、ちょっとした応援をし続けたいな。

西澤:本当に、すごく嬉しいです。ありがとうございます。なんというか、男同士だとちょっと恥ずかしくなっちゃって、普段はこんな話あんまりできないんで。

田中:いっぺん銭湯でも行こか?


何もない場所で撮ったにも関わらず楽しそうな西澤さん。これぞ地元愛が創り出す空気!ご協力ありがとうございました!

協力:SIGHTS KYOTO
一棟貸し宿「KYOMACHIYA-SUITE RIKYU」はこちら

文・写真:宮内 めぐみ  編集:柴田 明

2022.07.27