ブログ

税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2012.05.23

税務会計

使用者が負担した慰安旅行の代金が従業員の給与として課税されないためには

従業員の福利厚生のための慰安旅行を使用者がおこなった場合、使用者が負担した旅費が従業員の給与として課税されるケースがあります。

金銭として給与をもらっていませんが、従業員は経済的利益を受けたとして給与所得に含まれます。給与所得となれば源泉所得税が必要になります。慰安旅行に参加して、その代金について源泉所得税を払うとなると従業員は不満に思いますよね。

 

参加者の給与として課税されるか、会社の福利厚生費となるだけで給与課税されないかの判断は、その旅行の行程・目的・規模・参加割合・負担割合などを総合的に勘案しておこなうことになります。

しかし、下記の要件のいずれも満たす場合には、原則として課税の対象としなくてもよいこととされています。

  1. 旅行の期間が4泊5日以内であること。(海外でもいいですが、海外の場合は目的地での滞在日数によります。)
  2. 旅行に参加する従業員等の数が従業員の50%以上であること。

 

役員だけを対象にした旅行や成績優秀者のみを対象とした旅行は慰安旅行とはいいませんので、その旅行費用については給与として課税の対象になります。

また、業務上の理由で参加しなかった人に金銭を支給する場合には、その金銭は給与として課税の対象となります。

さらに、自己都合で参加しなかった人に金銭を支給する場合には、参加しなかった人だけでなく、参加した人全員についてもその金銭の額が給与として課税されます。

 

もちろん、上記の基準を満たしている場合には「原則として」課税しないといっているのであって、総合的に勘案した結果慰安旅行としての実態を備えていないのであれば、課税されることもありますので、慰安旅行として相当の範囲内にとどめておく必要があります。

 

(関連法規)

所得税法28条1項(給与所得)

所得税法36条(収入金額)

所得税法基本通達36-30(課税しない経済的利益・・・使用者が負担するレクリエーションの費用)

所得税法基本通達36-50(用役の評価)

昭63直法6-9(「所得税法基本通達36-30(課税しない経済的利益・・・使用者が負担するレクリエーションの費用)」の運用について)

 

No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行|源泉所得税|国税庁

所得税基本通達36-30(課税しない経済的利益・・・・・使用者が負担するレクリエーションの費用)の運用について(法令解釈通達)|源泉所得税関係 個別通達目次|国税庁

2012.05.23