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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2025.12.19

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年をまたぐ取引に要注意!売上は“納品日”と“入金日”のどちらで計上する?【税理士さんに聞いてみた】

年末に業務を終えた案件の報酬が年明けに入金された場合、その売上は「どの年に計上すべきか?」と悩む方は少なくありません。

特に確定申告が初めての方にとっては、こうした『年をまたぐ取引』は意外と悩みどころ。

今回は売上をいつのタイミングで記録するのが正しいのか、クラウド会計ソフトを使うときに気をつけることなど、税理士でfreee認定アドバイザーの田中慎先生にわかりやすく解説していただきました!

年末納品・年始入金の売上、どっちの年に計上?

まず押さえておきたいのは、売上は入金日ではなく「サービスを提供した日」や「商品を引き渡した日」で計上するというルールです。

たとえば、ライティングやデザインのように納品日が明確な仕事であれば、その納品日が売上計上日になります。イベントの開催日や物販の引き渡し日も同様で、業種にかかわらず“仕事を完了したタイミング”が基準になると考えるとわかりやすいでしょう。

【例】2025年12月20日に納品・請求した
2025年12月の売上

入金日に左右されてしまうと、売上を意図的に前後させることもできてしまうため、税務上は一貫して「提供日ベース」で計上することが求められています。

freeeユーザーの場合

freeeでは、請求書の締め日をもとに自動で売上が登録されるため、提供日ベースの管理と相性がよいのが特徴です。請求書を作成した時点で、その月の売上としてしっかり反映されるため、計上ミスが起こりにくいというメリットがあります!

請求書の発行日に要注意

ここで注意したいのが、クラウド会計ソフト請求書の発行日によっては、売上計上日がズレてしまうことがあるという点です。

たとえば、12月分の仕事であっても、請求書の発行を1月5日にしてしまうと、freeeでは「1月の売上」として扱われてしまうケースがあります。

本来は12月の売上であるにもかかわらず、発行日が優先されることで帳簿上の月がずれてしまい、結果として事業の業績把握にも影響が出てしまうのです。

対処法

freeeでは、『請求書の発行日』売上の計上日』を分けて設定することができます。

そのため、発行日は1月のままでも、売上計上日だけを「12月」に設定し直すことで、正しい処理に戻すことができます。

年末年始は請求書作業が重なりやすい時期でもあるため、発行日と計上日の関係は特に注意しておくと安心です。

請求漏れがあとから発覚したら?

「12月に仕事は終わっていたのに、請求を出し忘れていた…」確定申告のタイミングで請求漏れに気づき、慌ててしまう人も少なくありません。

しかし、こちらも必要以上に不安になる必要はありません。請求書が発行されていなくても、提供日ベースで売上を計上することができるため、12月時点では「売掛金(=未回収の売上)」として処理することが可能です。

入金が1月でも3月でも、提供したタイミングが12月である以上、売上は12月として計上できます。freeeでも売掛金として残り、後日の入金時に正しく消し込みが行われます。

まとめ

  • 売上は「入金日」ではなく、仕事をした日(提供日)で計上する
  • freee請求書は原則、自動で正しい月の売上として登録されるが、発行日=売上日となるケースがあるため注意が必要
  • 年をまたいだ未入金や請求漏れも、売掛金として計上できるため慌てなくてOK

 

年末年始は会計処理が複雑になりやすい時期ですが、正しい考え方を押さえておけば落ち着いて対応できます。もし迷うケースがあれば、早めに専門家に相談しながら進めると安心です。

2025.12.19