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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2025.11.15

田中会計のこと

みんな幸せがいいやんか。型にはまらない会計事務所「田中会計2.0」の今とこれから

2月に公開された「メンバーが増えたから、未来をつくるための会計業務にもっと時間を使っていきたい」から半年。田中経営会計事務所(以下、田中会計)は、さらに4月に2名が増えました。
1年半で5名増員で新体制となった田中会計は、より一層、変な集団になるに違いない(※リスペクトを込めています)。

今回は、これまでの田中会計というチームの形を振り返りながら、これからの田中会計の方向性について探ります。

 

どんどん頭打っていこ!メンバー増員で会社ぽくなってきた田中会計

ー ここ1年半で田中会計は5名の増員。チームの雰囲気も変わってくるかと思いますが、事務所としてのこれまではどんな感じだったのですか?

田中:事務所としては「会社」っていう感じではなかったかな。実は採用も形式的には行ったことがないんよね。スタッフの武田は「採用していないのは知っているけど雇ってくれ」って突撃してきたし、熊倉はイベントを通じて知り合いだったし。

ー 会社っぽくなかった。突撃されて採用。ここだけでもうオモシロ事務所ですね。

田中:そもそも、僕に「人を増やして会社を大きくしたい!」という考えはないんよね。自分の目の届く範囲のお客さんを大切にしたい思いがあるから。

ー 5名の増員は大きな変化で、十分「会社」ですよね。今の心境が気になります。

田中:スタッフが増えた今は、全員がきちんと給料を得られて、長く働き続けられる環境を作らなあかんなとより一層感じているかな!

ー 採用をするにあたって田中会計の価値観を言語化したとか。

田中:3人体制だと言語化できないことも感覚的に通じたけれど、採用で応募してくれる人には、企業の在り方を言語化したもの…いわゆる「ミッション・ビジョン・バリュー」で説明できないとまずいよねって話になって。

ー それで作ったのが「楽しい経営計画」(※参照:「「つよく、やさしく、おもしろく」、ミッション・ビジョン・バリューを紹介します。」ですね。ネーミングから既に楽しい。

田中:特に、スタッフの姿勢に関連してくるバリューは大切にしてるかな。「よく食べ、よく寝て、よく遊ぶ」!

ー お、なんか保育園みたいな言葉出てきたぞ?

田中:「食べる」は好奇心・探求心を持って良質なインプットをしましょうということ。そのインプットを寝かせ、自分なりに納得いくまで消化するのが「寝る」で、「遊ぶ」は遊ぶように仕事を楽しむことでお客さんにしっかり向き合おう。…って真面目に解説したけど、概ね文字通りの内容と思ってもらったらOK。

ー シンプルながら奥深いですね。

田中:ちなみに新メンバーには、まずは田中会計のカルチャーみたいなのが伝わったらいいなと思ってる。

(田中会計で飲みに行くといつも出てくる話題をまとめた7つのキーワード)ー 冒頭から「頭打ったらええねん」はパンチありますね(笑)

田中:「頭打ったらええねん」は普通にお客さんにも言うし、メンバー間でも言う。何事も実際にやってみなわからへんからね。

ー お客さんにまで言うところは、田中会計!って感じ。「ダサくなるなよ」もCMのコピーさながらです。

田中:「ダサくなるなよ」も大事にしてるわ。うまくやろうとしてまとまるのではなく、自分の中の美学を大切にする格好良さを持って仕事しようってことね。

ー 仕事上のミスは怒られないんですか?

田中:うちはミスしても、基本的に「ダサい」ことをしたときしか怒られへん。ミスが起こる仕組みが悪いんじゃないかという見直しはする。マニュアル通りに仕事をするのではなくて、探究心を持って取り組んでほしいし、作業するだけの人を育てるつもりはないって価値観が、うちにはあるかな。

ー その価値観、新メンバーの皆さんには響きました?

田中: みんなすごく理解してくれていて、ありがたいことに「やっぱりこういう環境で働きたいです」って言ってくれてる。あらためて、価値観を言語化して伝えるって大事だと思ったね。

 

田中会計は「会社」という名の牧場です

ー そうした価値観を新メンバーに共有しながら、プロのファシリテーターのもとチームビルディングを行ったとか。

田中:2月にね。新体制になったのであらためて田中会計のことをみんなで整えようってことで。

ー そこで見えてきたものは何ですか?

田中:よく会社を例えるときに「1つの“船”に乗っています」という表現もあるんやけど、「や、うち、船じゃないな。一緒に乗りたくないわ」ってメンバーから出てきたんよ。「どっちかっていうと牧場やな」って。

ー 社長に「一緒に乗りたくない」とか言います?おもしろすぎるでしょ(笑)どんなところが牧場ですか?

田中:なんていうのかな…僕が牧場主で、場所は構えているけど「別にどこでも行ってくださってもいいですよ」みたいなスタンス。

(牧場主)

ー あー。(慎さんぽいなー。)

田中:牧場には色々な動物がいて、野山を駆け回る馬もいれば、その辺でずっと草食べてる羊もいて…ってイメージ。時折柵飛び越えて、どっか行く動物もいるよね。

ー イメージが的確すぎ(笑)でも皆なんだかんだちゃんと牧場に帰ってくるんですよね!田中会計に関わるメンバーの伸び伸びとしているイメージは、外から見ている私にも伝わってきます。

田中:確かなチームではあるのだけど、一丸となって一つの場所へ向かっているわけじゃない。でもなんだか居心地は悪くないから「ここにいとこか〜」みたいな感じかな。

ー なるほど!それを踏まえると、船ではなくて牧場で例えるのは田中会計にぴったり!

 

会計をもっと速く。今よりもっと事業成長に寄り添う田中会計を目指します。

ー 人数が増えた田中会計が新たに目指すものはありますか?

田中:あと2年かけて売上をしっかりと伸ばしていこうか、とメンバー間で話しているところ。
単純にお客さんを増やすの倍増ではなく、一人ひとりのお客さんのサービスの質を向上させるイメージになるかな。

ー 質の高いサービスというのは具体的に言うとどのような内容ですか?

田中:もちろん会計処理を正確にすることは大前提で、お客さんの事業成長に本気で伴走することやな。
例えば、会計処理は正確さに加えて速さにこだわる。そうすればその後に続く予算と実績の分析などに時間を使え、タイムリーな情報提供を通じて経営判断にも活かせる状態が作れるんよな。

ー 速くリアルに数字が出せれば、事業に関して対策を立てることができるし、田中会計から具体的な提案ができますもんね。

田中:そうそう。まずは数字を整えたら現状が見える。そこで初めて壁打ちをしていきましょうかとなるんよね。

ー とても理解できました…が、ちょっと真面目すぎて普通の記事になっちゃうので、もうちょいふざけた感じでいきましょうか。

田中:ほな、もうちょいしょうもない話でもしよか。

 

田中会計2.0=底上げ+α

ー 今、勝手ながらこの新体制を「田中会計2.0」と名付けました。「事業成長に本気で伴走」を宣言されましたが、田中会計2.0は、会計以外にも何か変化がありますか?

田中:2.0って逆にややこしくなってない?(笑)
今は、古参メンバーの武田は、新メンバーが補佐してくれていることで、うちの仕事を半分ぐらいしかしてへんな。

ー もう半分は何をしているんですか?

田中:IT系の会社の非常勤役員をして、中小企業のITコンサルやってる。生成AIの活用を研修したりとか、Google Workspaceの導入支援としてチャットボットができるような仕組みを作ったりとか。

ー それも田中会計の仕事として容認しているのですか?

田中:会計の枠組みでやってる。成長意欲が高いと特にだろうけど、同じ仕事を5年も続けていたら誰でも次のステップに進みたくなるよね。
「だから、収入の8割はうちで稼いで、残り2割は自分で挑戦して稼いでみたらええやん!」って言ってる。それが挑戦と安定のいいバランスだと思うし。

ー つまり、牧場の柵ガンガン飛び越えていってOKなんですね。

(誰一人寝ていない関西万博で、堂々とのんびり過ごす自由な田中会計。)

田中:面白いからそれで良いと思う。「さっきまであの林の奥におったのになぁ…あれ、おらへん!」みたいな。

ー おらんのかい。全員が柵を飛び越え出したらどうなるか気になりますね。夕方までぽつーんと牧場の外を眺めている慎さんも想像できます。

田中:そういう未来は本当に見たいかも。メンバーにとってもどこかのタイミングで帰ってきたりとか、居場所がここにあるのはきっと良いことだろうし。その代わりに、挑戦したいことは自由に挑戦したらいいと思うねん。
「何かあった時は手伝ってな」って言えば「しゃあないなぁ」と言いつつ居てくれるみたいな。それって実はとてもしなやかで、強いチームなんじゃないかな。

ー 挑戦することで一人ひとりの造詣が深くなるし、結果的にアドバイスに幅と奥行が生まれますもんね。

田中:外から言われてうちが珍しいタイプの事務所だと気づいてん。色々なパートナーさんも外部にいてくれて、メンバーも外に出て…事務所として挑戦を推奨しているからかもしれないけど、会計事務所の中では少数派なんだなと。この良さをもっと活かしていけたら良いよね。

(普段の仕事はリモートのため、3か月に一度リアルで集う「わくわくミーティング」で、コミュニケーションのバランスをとる)

ー 「会計事務所」と聞くと、当たり前ですが会計ばかりをしているイメージですよね。

田中:もちろん、そのイメージで全然問題ないねんけどな。ただ、会計のプロとして思うのは、お客さんが会計を身近に感じることで事業成長に繋がってほしいということ。そのためなら、会計を飛び越えてIT系でもデザインでも何でもいいから手伝いたいねんな。

ー お客さんからしても、会計のことだけ伝えられて、数字の焦りだけが生まれてしまった時、そこで足踏みしてしまうのは辛いですよね。

田中:それはそうやな。そこに対して、例えば「こういうITを入れたらいいんちゃいますか」とか「デザインで知り合った、こういう人がいまして」といった具体的なマッチングや僕らが挑戦で得た知見を提供できれば、もっとお客さんのためになるよな。

ー 「当たり前」の底上げに、+αをする感じですね。

田中:もうね、あれもしたい、これもしたい。欲張りやねん。メンバーには「自分で自分の首しめてますよ」ってめっちゃ言われんねんけど、でも、やりたいねんもん!

ー 子どもか!

(「とりあえず、っぽい写真撮っときましょうか」でOKしてくれる適度にテキトーでやさしい慎さん)

ーーーーー

​​(編集後記)

取材をさせていただいたのは久しぶり。

いつの間にかメンバーが増えていたし、ITコンサル始めたメンバーが居るし、チームビルディングで会社っぽい感じのことしたかと思えば、結果的に「牧場」になってる。
でも慎さんは慎さんのまま、おもしろい組織を追求する人でした。
だからいつも田中会計メンバーは「なんかしらんけど楽しそう」という空気が漂っているのかもしれませんね。

会社っぽくないし、税理士っぽくない代表だし、メンバーは奔放だし。やっぱり、これこそが田中会計なんですよね。(※再掲:リスペクトを込めています。)

 

2025.11.15