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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2025.09.18

日々のこと

「やりたいことがない」というインターンの悩みに触れて、税理士の仕事のおもしろさについて考えてみた

税理士の仕事

愛知からインターンがやってきた。
観光以外ではじめての大阪・京都とのこと、既卒で時間はあるのでひとまず2か月フルタイムでインターンをする。

人生について悩んでるんです!

あまりにも明るい笑顔でいうので、その状態で会計の仕事を教えても仕方がない。
5日間大阪や京都の知り合いに会わせて回った。とりあえず「せっかく関西来たんやから」と万博にも行ってきてもらったり、清水寺にも遊びに行ってきてもらった。

行く先行く先でいろんな大人が悩みについてきちんと耳を傾けてくれて、それぞれの大人が抱える悩みを話してくれた。

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みんな自分の悩みについて教えてくれる優しい大人たち
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楽しそうやけどな

じっくり話してくれた人や、面白がってくれた人は1週間で20人ほどになるだろう。20回自己紹介してたらいい感じになってきた。そしてそのすべての人を何かしら笑顔にさせている。

そんな風に相手の心を開かせるのが彼女の魅力だろう。
伸びしろしかないので楽しみだ。

「やりたいことがない」問題と仕事のおもしろさ

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楽しそうに悩んでる

やりたいことがないんです

彼女がいろんな大人とそう話しているのを横で耳にしていて、自分も考える。

20代の前半にやりたいことなんてそんなになかった。
なんだか会計っておもしろいなと思い、ずっと税理士試験の勉強をしているときに、自分がやりたいことなんて考える余裕なんてなかった。
力不足で世間から相手にされない自分にとって、できることを積み上げることに必死だった。

税理士の仕事をしていて今はめちゃくちゃおもしろい。大変な時もあるけれど、それもおもしろい。
ふと考える。そのおもしろさってなんだろうか。

人の人生に立ち会えるおもしろさ

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インタビューでお客様の事業を紹介
https://www.tnktax.com/blog/page_5423/

もともと自分は教師になりたかったという背景があって、昔から人の成長に関心がある。

起業するとき、どんなに売上をあげることができる人でも会計について詳しい人はほとんどいない。会社を立ち上げるときには会計や税務以外にも人の問題、法律の問題、ありとあらゆることについて税理士が相談を受ける

また付き合いが長ければ、いずれ事業承継や相続の相談まで受ける。事業のこと、プライベートのこと、すべてにおいて信頼をしてもらえる関係性をつくることができる仕事であり、それだけの期待に応えるためにこちらも成長を求められる。

これだけ長期間、定期的に話をしながら人の人生に伴走できる仕事ってほかにあるのだろうか。
だからこそ、うちは「この人であれば伴走したい」というお客さんと一緒に仕事をしたいと思っている。

人に変化のきっかけを提供できるおもしろさ

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うちの事務所も外部人材に入ってもらい支援してもらっている

ときには厳しいことを言うこともある。
事業承継の会社で先代が後継者についてあれこれ注文ばかりつける。なんとなく社内で話しにくいことがある。そんなときに口火を切るのが会社外部の専門家の役割だ。

後継者が自分がやりたいことをできないのに、なんで会社を継がないといけないんですか?

そこからお互いの本音が出るような場をつくる。
嫌われるようなことを言う必要もある。
先代も後継者もこちらを向いて言いたいことを言ってくるけれど、本当はお互いに腹を割って話したかったことだ。

事業のアイデアについても、自分たちが当たり前に思っている価値について新しい視点を提供することがある。

そうした変化のきっかけを提供することが、外部人材としての役割であり、やりがいだと思っている。

どんな仕事にも必要とされるおもしろさ

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一般向けのセミナーなど教える機会も提供

私は根っからの飽き性だ。
どんな快適なオフィスでも毎日一か所に居たくはないし、毎日同じ人と週5日会うのは、どんな仲の良いチームでも疲れる。
どんな事業をしていても時には違うことをやりたくなる。

会計は単調な仕事のように思うかもしれないけれど、とてもクリエイティブな仕事だと思っている。入力だけをがんばればいい時代は終わり、情報がうまく会計に流れるように業務の流れを整え、顧客に伝え、会計を元に事業について経営者とともに考える

それを様々な業種の経営者と話をすることができる。
今までになかった業種の顧問先が増えることで、自分が全く知らなかった業界の話を知ることができる。
これだけの情報を知ることは、転職を何回も繰り返さない限り通常は無理だろう。

だから飽きない。

そして、どんな業種の会社とも仕事ができる可能性がある。相続を含めればどんな人に対しても、なにか自分が力になれることができる可能性がある。

だから、どんな人との出会いも無駄ではないと思えるところがおもしろい。

AI時代の税理士の仕事とおもしろさ

これからAIが進めば会計は淘汰される仕事であることは間違いない。
でも、自分はこの仕事を会計的な思考と法律的な思考をベースにした対人支援だと思っている。

人に安心してもらう仕事。
安心してその人の可能性を発揮してもらうための環境を整える仕事。

それがおもしろくない訳がない。

やりたいことがない訳ではなく、いろいろありすぎるし、変わり続けている。それを一つの言葉にして陳腐になってしまうのが嫌なのかもしれない。

そういえば、昨年隠岐の島に行ったときに考えていたことがもっと明確になったのだなと思った。

そうはいっても、「やりたいことがない」「やりたいことがわからない」については、30代前半までとても悩んでいた気がする。

もっと悩んだらいいし、いろんな話を聞いて経験して、走り続ける中で何となく見えてくるものがあるかもね。

インターンの問いをきっかけに、私も良い時間を過ごした時間でした!

2025.09.18