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2012.03.20

医療経営

平成24年度診療報酬改定:厚生労働省保険局医療課長 鈴木康裕

平成24年度診療報酬改定について(映像)
厚生労働省保険局医療課長 鈴木康裕
http://www.ustream.tv/recorded/20893465

資料等はこちら↓

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/2-3.html


今回の改定は大きな流れの中では2025年を見据えたホップ・ステップ・ジャンプのホップ。

今回の改定はメッセージ性が強いもの。
医療現場にもそれなりの努力を求める。未来を見据えた病院運営を行ってください。

前回の改定について

前回の22年改定は10年ぶりのプラス改定だった。
0.19%のプラス。
医科に振り向けた額が前回4800億。
今回との差を意識してほしい。
救急産科小児外科の医療の再建と病院勤務医の負担軽減が目的だった。

結果、産科医療の充実が図られた。リスクの高い分娩を受け入れる産科が増加、産科医が増加に転じた。
リスクの高い新生児を受け入れるNICUの病床数の増加。
重傷者を受け入れる救命救急センターが増加。
救急を支える地域連携の強化。
想定をしていたものについては一定の結果が出た。

病院勤務医については、まだまだ悪化しているのが事実だが、改善傾向の増加が少し見られた。しかし選択と集中を激しくした結果、中小病院よりも500床以上の病院や大学病院に対する恩恵が目立った。

今回の改定の背景

  1. 高齢者単身世帯の増加高齢者人口が増えているのに増して高齢者単身世帯が増加。

    要介護3以上の単身世帯は介護保険開始時から3倍に増加。一人暮らし不可能。介護保険は家庭の中に介護者いることが一定の前提だったが、パラダイムの変換が必要。

  2. 団塊の世代の高齢化前後に比べ年間100万人多い。毎年産まれる人数が100万人。
    ピークの方々が70歳を超えるのにあと3年。70歳を超えると医療介護費用が増加。残された時間はあまりない。
  3. 高齢者人口の増加数2005年→2025年地域差を考慮しなくてはいけない。
    人口密度が薄い県は高齢者の絶対数の増加はあまりない。高齢者のために働く若者の確保が問題。
    首都圏・中京圏・大阪圏は絶対数が激増。地代が高いし、若者は医療介護以外に魅力的な職業が多い。今までのようなモデルは通用しない。
  4. 死亡者数の増加に伴う看取りの問題年間100万人なくなっている。2030年あと25年のうちに160万人になる。医療機関で亡くなる人の人数が増加。なんとか自宅、介護施設でなくなる方の人数を増やす。50万人が亡くなる場所がない。サービス付き高齢者住宅の増加が必要。

入院について

7:1入院基本料の発足時の予定は2万床だったが、現在32万床。
社会保障と税の一体改革の目標像にある18万床まで絞っていく必要がある。

外来について

大病院では資源が限られているので、軽傷者を診ることはできない。

在宅について

在宅療養支援診療所でも半数が年間1人も看取りをしていない。

社会保障審議会の重点課題

  • 従事者の負担軽減。
  • 介護との役割分担。在宅を重点的に行う。
  • 医療技術の導入

将来像

入院患者の特性に合わせた病床再編を進める。
地域では病床数が限られるので、都市部と同じように機能分化を求めることができないので配慮が必要。
今回を含めて7回の改定で2025年に基本的なところに到達するように舵を切っていく。

全体改定率は+0.004%
診療報酬本体は+1.55%
前回並みの財源を確保。医科に4700億。
前回はかなり入院に特化した内容だったが、前回に比べれば在宅を含めて入院外にも配分。

今回の改定は、目前の課題に加えて中長期的な課題に対する方向性を提示した改定。
マクロのトレンドの中で各医療機関が自院のおかれている状況をよく判断してどこに着地するかを決めて頂く一助にしてもらいたい。

2012.03.20