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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2016.11.14

経営

中小企業コンサルティングという仕事

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先日のソーシャルイノベーションをテーマにしたセミナーで母校の大阪市立大学の方とご縁がつながり、大学の同窓会広報誌に「中小企業コンサルティング」をテーマに寄稿をすることになりました。

あらためて自分がどのようなことを考えて中小企業を支援しているのか整理するちょうどよい機会になったので、こちらでも記載しておきますね。

中小企業コンサルティングという仕事

『支援』をするうえで一番大切なことは何なのでしょうか。

支援という言葉は企業支援以外にも、災害支援、国際支援、学習支援、介護支援などをはじめ、様々な分野で使われている言葉であり、「力を貸して助けること、手を差し伸べること」という意味で使われています。私たちは場合により、誰もが支援する側になることがあり、支援される側になることがあります。

『支援』をするうえで一番大切なことは何なのか。

私が現場で試行錯誤している企業支援を通じて、自分なりの考えをお伝えしたいと思います。

(1)対症療法的な支援

私は大学卒業後、税理士補助業務に従事し、29歳のときに税理士資格を取得しました。

大学では経済学部だったものの、経営学のおもしろさに目覚め、3回生からは経済学部よりも経営学部に潜り込んで授業を聞いていました。そして経済地理学専攻のゼミでありながら卒論のテーマは『成果主義とモチベーション理論』。教授には迷惑をかけましたが温かく見守ってくださりました。

私は大学に入るまでは教師になりたかったのですが、大学で経営学に夢中になったことから経営の分野で人を支援することができるコンサルタントになりたいと思うようになりました。そこでまずは会計が扱えなければ経営者の信頼は得られないと考え、税理士資格の取得を目指します。

その後、経営全般に幅広い視野を持つため経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士資格を取得し、具体的にITを使った業務効率化支援をするためプログラミングの資格も取得しています。

経営にはあらゆる分野の知識が必要になります。

自分が必要だと思うことは分野を問わず学んできたことで、様々な知識や技術を組み合わせて支援することができるようになり、経営者の相談相手として信用を得てきました。

しかし、個々の問題を対症療法で解決しても、新たな問題は次々と発生します。成果は出るものの砂漠に水をまくようなもので、自分の無力さを感じるようになりました。

(2)気づきを生み出す支援

なぜ私たちは同じ失敗をくりかえすのでしょうか。

いま私はその原因から解決するコンサルティングに取り組んでいます。一般的にコンサルタントからアドバイスをもらった経営者は、「いやぁ、勉強になりました!ぜひ実行したいと思います!」といいます。しかし、その行動計画を本当に実施する人はそれほど多くありません。

行動につながらない原因に自分たちで気づき、行動につながる仕組みへと自分たちで変化を起こす必要があります。

中小企業がコンサルタントに支援してもらう意味は、アドバイスをもらうということだけではなく、第三者を通じて自分たちと向き合うことだと考えています。

私は最初に十分な時間をとって自由に相談者のお話を伺いします。1時間ほど楽しくお話しして頂くと、その方の良いところが見えます。お伺いした内容を私が整理して文章にしてお渡しすると、ほとんど全ての方が驚かれます。すべて自分が話したことなのに「あんな雑談をこんな分かりやすく整理してくれてありがとう!私が言いたかったのはこういうことなんです!」といいます。

経営課題を解決するための方策はその会社の中にあるのです。大切なことは自分たちで気づき、課題と向き合い、行動に変化を起こすということ。私は支援者としてその手助けをしています。

(3)寄り添い続ける支援

そうした支援を続ける中で、自分なりに『支援』をするうえで一番大切なことに気づきました。

それは寄り添い続けることに他なりません。

必ずこの企業はうまくいく。経営者の次にそのことを信じて諦めないパートナーとして寄り添い続けること。そして笑顔で「大丈夫ですよ」と言い続ける存在であることです。

経営者の一番の悩みは『不安』です。正解のない世界で決断に失敗すれば家族も従業員も路頭に迷わすことになる。中小企業の経営者は毎日そうした責任と不安を抱えています。お金や個人的な悩みは誰にでも相談できるものではありません。親身になって相談できる相手として、私たちのような専門家がいるということは心強いものです。

私はその信頼に応え、笑顔で寄り添い続ける存在でありたいと思います。

 

 

私の仕事は『誰もが自分の可能性に挑戦できる環境をつくる』こと。

それが企業支援を通じて実現したいことです。

現在は、ビジネスを通じて社会課題の解決を目指す社会起業家の支援に力を入れています。未来を自分たちの手で創りだそうとしている同世代の起業家達を見ていると、未来はきっと明るくおもしろい。私自身、みんなが個性を活かすことができる『彩りある未来』を創るために仕事をしています。

まだまだ道半ばですが、試行錯誤を重ねながら自分にできることを一つ一つ積み重ねていきたいと思います。

2016.11.14