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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2012.03.21

税務会計

青色申告制度

青色申告制度の概要

所得税は納税者自らが所得金額を計算して納税する申告納税制度を採用しています。正確な所得金額を計算するためには作成した帳簿や受け取った領収書を保存しておく必要があります。納税者が正しい納税ができるように、国は正確な帳簿書類を作成する納税者に対して恩恵を与えています。それが青色申告制度です。不動産所得、事業所得、山林所得のある人が青色申告をすることができます。

青色申告の承認手続

青色申告の承認を受けようとするときは、その年3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出します。
1月16日以後に新規開業した場合は、業務を開始した日から2月以内が提出期限になります。

帳簿書類と保存

青色申告は複式簿記によって記帳し、貸借対照表・損益計算書を作成することが原則ですが、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳のような簡易な記帳をするだけでも認められます。これらの帳簿書類は原則として7年間保存することが義務づけられています。

青色申告の特典

青色申告のメリットで主なものは次の通りです。

  1. 青色申告特別控除
    青色申告をすることのメリットは、まず青色申告特別控除が受けられることです。青色申告特別控除は65万円控除と10万円控除があります。
    不動産所得か事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その取引を正規の簿記の原則に従って記帳し、作成した貸借対照表・損益計算書を確定申告書に添付して期限内に提出している場合には、最高65万円を控除することができます。それ以外の不動産所得、事業所得、山林所得を生ずべき業務を行う青色申告者などについては最高10万円を控除することができます。
  2. 青色事業専従者給与
    青色申告者と生計を一にしている配偶者その他の親族のうちその青色申告者の事業に専従している人に支払った給与は、事前に提出された届出書の金額の範囲内で労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入できます。なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
  3. 貸倒引当金(一括評価)
    事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸倒れによる損失の見込額として年末に有している債権の5.5%以下の金額を必要経費として計上することができます。
  4. 純損失の繰越し・繰戻し
    事業所得などに損失がある場合、損益通算をしてもなお控除しきれない部分の金額が生じたときは、その損失額は翌年以後3年間繰り越して控除することができます。また前年も青色申告をしている場合には純損失の繰越しに代えて、その損失額を前年に繰り戻して前年分の所得税の還付を受けることもできます。

以上のように、青色申告の特典は大きいので必ず青色申告をしたいところです。注意すべきなのは、不動産所得、事業所得、山林所得に係る業務をしている人が対象という点です。例えばインターネットでの広告収入により生計を立てている人が青色申告をする場合には、雑所得でなく事業所得といえる規模でなくてはならないので、確認が必要です。

また簡易帳簿による青色申告については特別な会計ソフトが必要なわけではなく、excelなどで作成した現金出納帳などの帳簿でも正確に記帳されていれば認められるので、ぜひ挑戦してみましょう。

2012.03.21