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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2013.04.12

税務会計

教育資金の一括贈与は本当に必要?

文部科学省のホームページに「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について」が掲載されており、教育資金とは何を指すのかが載っています。

(1)学校等に対して直接支払われる次のような金銭
① 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など
② 学用品費、修学旅行費、学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など

①は入学金、授業料などに加え、入試検定料も含まれるとのこと。また②の学用品費、修学旅行費、学校給食費などの「など」にどこまで含まれるのかは問題ですが、教育に必要な費用であればそれほど厳しくないような印象です。

そして、「学校等」にはどこまで含まれるのかも掲載されています。

<「学校等」とは>
・学校教育法上の幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校、各種学校
・外国の教育施設
〔外国にあるもの〕その国の学校教育制度に位置づけられている学校、日本人学校、私立在外教育施設
〔国内にあるもの〕インターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されもの)、外国人学校(文部科学大臣が高校相当として指定したもの)、外国大学の日本校、国際連合大学
・認定こども園又は保育所 など

 

また、学校以外の塾などに使うものはどうでしょうか?こちらは500万円が限度ですね。

(2)学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で社会通念上相当と認められるもの
<イ 役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの>
③ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
④ スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
⑤ ③の役務提供又は④の指導で使用する物品の購入に要する金銭
<ロ イ以外(物品の販売店など)に支払われるもの>
⑥ ②に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの

 

このような資金を信託銀行等に預けて領収書などを提出すれば、もらう側一人につき全部で1500万円まで非課税とする制度です。

 

本当に一括贈与が必要?

 

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景気拡大のための減税施策に水を差すようで悪いのですが、本当に必要なの?と思ってしまいます。

信託銀行などは将来的な顧客獲得のため、熱心にアピールしており新聞でも大きく報じられています。

 

でも、扶養義務者の間で必要なときに必要な分を贈与することは今までも贈与税の非課税でした。こちら、国税庁ホームページより。

No.4405 贈与税がかからない場合|贈与税|国税庁

 

2 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
 ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。
 なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

そして扶養義務者とは、同じく国税庁ホームページからですが、

(「扶養義務者」の意義)|国税庁

「扶養義務者」とは、

配偶者

直系血族

兄弟姉妹

家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族

を指します。

 

つまり、今回の改正で導入された教育資金一括贈与の非課税措置は「一括」に意味があります。

そして、一括の要件として信託銀行などに管理してもらわなければならなくなるのであれば、一括贈与せずにその都度贈与するという方法も十分検討する余地があるのではないでしょうか・・・。

導入された時期がちょうど良かったので盛り上がっているのでしょうね。

あまり文句をつけるのは好きではないのでこれくらいにしますが、税理士がもっといろんな方法を提案していれば、みなさんの選択の幅が広がるのだろうなぁと今回感じました。

なので、これからもより多くの情報をわかりやすく発信していきたいと思うので、今後ともよろしくお願いします☆

2013.04.12